この記事では、通信制大学院についてまとめていきます。地方に住んでいる社会人の中には大学院への進学に興味があるけれども、通学するには難しいという方がいると思います。私もその一人です。
ですが、通信制大学院であれば必要最小限の通学だけで、修士あるいは博士の学位を取得することができます。
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・通信制大学院とは
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通信制大学院はその名のとおり、インターネットやeメールなどを使い通学をそれほどしなくても修了することができる大学院のことです。
通信制大学院は自宅や職場から通学できる範囲に大学院がない人や、社会人としてフルタイムで働いており、大学院に通うことができない人などが、地理的制限、時間的制限がある中でも大学院で研究を行うために作られた制度です。
通信制大学院の歴史はまだ浅く、平成10年3月に文部科学省(当時の文部省)によって制度化されました。この通信制大学院制度ができたことで平成11年4月に日本初の通信制大学院が4つ作られました。(日本大学、佛教大学、明星大学、聖徳大学の4大学)
2018年9月現在、私が確認できるだけで27の大学で通信制大学院が設置されているようです。また、平成15年度からは修士課程(博士前期過程)だけでなく、博士課程(博士後期過程)も設置できるようになりました。
通信制大学院の講義は、通学する通常の大学院と同じように、大学の講義室に集まって講義を受けるスクーリングと言われる方法ももちろんあります。
ですが、上で書いたように通信制大学院の設置目的は、地理的、時間的制約がある人が大学院で研究できるようにすることですので、多くの科目が印刷教材を使っての放送講義、インターネットなどのメディアを使った講義です。
印刷教材というのは、通常の大学で使うようなテキストも含まれます。
座学の科目であれば、放送講義、メディア講義がメインとなりますが、実習形式の講義ではスクーリングがメインになったりします。
通信制大学院での評価は、大学から指定された印刷教材を学習すると学習成果を試す課題が与えられるので、それを提出すると添削され、その内容によって評価が決まるという方法です。
さらに、最後の修士論文・博士論文は実際に先生と対面して指導を受け、中間発表と最終発表をします。最終的に論文が認められれば合格、晴れて修了になります。
ちなみに大学院は修士課程と博士課程に分かれています。大学によっては修士課程と博士課程という区分ではなく、博士前期課程と博士後期課程という区分になっています。
修了要件は基本的にどこの大学院も以下のようになっています。
修士課程(博士前期課程)の修了要件は、2年以上の在学と30単位以上を修得して、研究指導を受けて修士論文の審査及び試験に合格することです。
博士課程(博士後期課程)の修了要件は、3年以上の在学と必要単位数の修得、研究指導を受けて博士論文の審査及び試験に合格することです。
・通信制大学院一覧と各大学院の入試方法、学費
1.放送大学大学院文化科学研究科
通信制の大学といえば放送大学のイメージが強いのではないでしょうか。その放送大学ですが、学部だけでなく大学院も設置されています。さらに2014年4月には博士課程も設置されました。
文化科学研究科(修士課程)は以下の7つのプログラムに分かれており、幅広く学び、研究することができます。
1.生活健康科学プログラム
2.人間発達科学プログラム
3.臨床心理学プログラム
4.社会経営科学プログラム
5.人文学プログラム
6.情報学プログラム
7.自然環境科学プログラム
博士課程は上の修士課程のプログラムから、臨床心理学プログラムを除いた6つのプログラムで構成されています。2018年度から情報学プログラムが新しく開設されました。
通信制大学院で博士課程が設置されている大学はかなり少ないので、これだけ幅広いプログラムの勉強と研究が博士課程でできるのは放送大学だけです。
私も働きながら研究を続けていくのであれば、放送大学大学院はかなりいい環境だなと思っているので、来年あたりに受験を考えています。
入試方法は、一次試験が筆記試験で二次試験が面接試験です。年1回、8月に出願期間が設定され、一次試験が10月、二次試験が11月にあります。
筆記試験の問題は放送大学のHPで公開されています。ざっと見ると、英語と専門分野に関しての小論文が出題されていますね。
募集人員は全部で500名となっており、各プログラムにそれぞれ何名ずつというのが決められています。
学費は、修士課程の場合、臨床心理学プログラム以外のプログラムは2年で約466,000円とかなり安いです!臨床心理学プログラムでも約530,000円です(放送大学HPより)学費も魅力的ですね。
ちなみに博士課程は3年間で約130万円ほど。こちらの学費も安いですね。
2.日本大学大学院総合社会情報研究科
日本大学といえば日本一のマンモス校ですが、通信制大学院も設置されています。それがこの総合社会情報研究科です。
専攻は、修士課程では国際情報、文化情報、人間科学の3専攻に分かれています。入学定員は各専攻30名ずつです。
入試は年に2回あり、例年秋と冬にあります。入試の受験料は35,000円です。
入試問題は、基本的に英語、小論文、面接試験ですが、一定の条件を満たした社会人は英語の試験が免除されます。
修士課程の学費は2年間で約182万円です。私立大学なので相場通りくらいではないでしょうか。
うまくお金が貯まったら(笑)、こちらの大学院も興味があるので受験してみたいですね。
博士課程も設置されており、専攻は総合社会情報専攻の1専攻のみとなっています。定員も9名と少数精鋭な感じがありますね。
博士課程は例年冬に入試が行われ、入試の受験料は修士課程と同じく35,000円で、入試問題は英語、小論文、面接試験です。
学費は3年間で約215万円ほどです。こちらも相場通りと言えるでしょうか。
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3.佛教大学大学院文学研究科、教育学研究科、社会学研究科、社会福祉学研究科
こちらの大学はぶっきょうだいがくと読みます。京都にある大学です。この大学では上にも書いた通り、4つの研究科が通信制で設置されています。
私が確認した中では、通信制大学院で研究科が4つ設置されているのは2番目に多いです。
文学研究科は修士課程だけでなく、博士課程も設置されています。文学研究科の専攻は、仏教学、文学、歴史学の3専攻です。入学定員は各専攻15名、入試は他の研究科も同様ですが、秋と冬の二回行われます。
教育学研究科は生涯教育専攻と臨床心理学専攻の2専攻です。入学定員は生涯教育専攻が10名、臨床心理学専攻が6名です。
社会学研究科は社会学専攻の1専攻のみで入学定員は10名、社会福祉学研究科は社会福祉学専攻のみで入学定員は10名となっています。
入試問題は、専門試験と面接試験で専攻別に実施されます。文学研究科の歴史学専攻は、研究する国の歴史ごとに専門の語学試験も課されるみたいですね。
また、面接試験は臨床心理学専攻のみとなっています。つまり他の専攻は専門試験のみで合否が決まるわけですね。(提出書類や研究計画書も考慮されていると思いますが)
入試検定料は35,000円です。学費は、臨床心理学専攻以外の専攻は、約48万円ほどで、臨床心理学専攻は約93万円ほどです。
4.明星大学大学院教育学研究科
明星大学といえば、保育士や学校の先生などを多く輩出していることで知られています。
教育学研究科の通信制大学院が設置されており、修士課程と博士課程のどちらも設置されているのが魅力ですね。
専攻は修士課程、博士課程ともに教育学専攻1専攻のみで定員は修士課程が30名で、博士課程は3名です。
入試は冬に二回行われており、昨年ですと第1期の出願期間が12/1~12/22となっており、第2期の出願期間が1/24~2/14となっているので、かなり短い間隔で入試が行われているので、実際に出願する際は少し注意が必要かもしれませんね。博士課程は年明けに1回のみです。
入試の検定料は30,000円で、入試問題は出願書類による選考と小論文、面接試験による選考の2つです。(博士課程も同様)
修了までに必要な学費は、修士課程は約99万円です。博士課程は約140万円です。
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5.聖徳大学大学院児童学研究科
千葉と東京にキャンパスのある大学です。大学院は千葉の松戸にあるみたいですね。この聖徳大学大学院が日本で最初の児童学の修士学位を取得できる大学院でした。なので児童学を研究するならこの研究科が良いかもしれませんね。
聖徳大学大学院児童学研究科は、修士課程と博士課程のどちらも設置されているので、児童学の研究者への道も目指せます。
専攻は修士課程、博士課程のどちらも児童学専攻の1専攻のみで、入学定員は修士課程が50名、博士課程が5名です。
入試の時期は夏と冬で、修士課程では、夏はA日程が6月下旬から7月上旬、B日程が7月下旬から8月中旬が出願期間です。冬はA日程が1月下旬から2月の上旬、B日程が2月上旬から2月末までが出願期間です。
博士課程は、夏と冬に一回ずつ入試が行われています。博士課程の入試が2回ある大学院はほとんどないので、そういったところも魅力ですね。
入試問題は、修士課程では児童学に関する小論文と面接試験、さらに書類審査となっています。書類審査ですが、募集要項にはカッコ書きで、『研究計画書等の出願書類による』と書かれていますから、出願書類の中でも研究計画書は重点的に見られているのかもしれません。
どこの大学院を受験するにしても、研究計画書はかなり大切な書類になるのでしっかり書くことが重要ですね。
博士課程は入試問題が修士課程よりも細かく分かれており、まず一般入試と社会人入試の2つに分かれています。
一般入試では、書類審査、基礎科目、専門科目、外国語、面接試験の5つの項目で審査されます。
社会人入試は、書類審査、専門科目、外国語、面接試験の4つの項目で審査されます。社会人入試では基礎科目の試験が一つ免除されているみたいですね。
入試の受験料は、35,000円です。学費は修士課程が約230万円です。博士課程は約271万円です。
6.東北福祉大学大学院総合福祉学研究科
東北福祉大学は仙台に拠点のある大学です。修士課程のみですが、通信制大学院が設置されています。
専攻は社会福祉学専攻と福祉心理学専攻の2専攻です。福祉心理学専攻では、臨床心理士資格と公認心理師資格を取得することも可能です。
入学定員は各専攻10名で、入試の時期は秋と冬の2回です。2017年度は、第1期が出願期間が10/10~11/16で、試験日が12/2でした。第2期は出願期間が1/15~2/15で、試験日が2/24でした。例年、この時期に入試が行われているので、2018年度も同じ時期に入試が行われると思われます。
入試は、筆記試験と面接試験、出願書類です。筆記試験は、専門科目なので社会福祉学・福祉心理学関連の科目です。英語の試験は無いみたいですね。
入学検定料は30,000円で、東北福祉大学の学部を卒業している人は15,000円に値引きされます。学費は学部出身者以外は、約82万円、卒業者は約77万円です。
7.名古屋学院大学大学院外国語学研究科
通信制大学院で唯一、外国語学(英米語)が研究できる大学院です。修士課程と博士課程が設置されており、専攻は英語学専攻1専攻です。
この英語学専攻では主に3つの研究領域に分かれて研究します。
英語学研究では英語の言語構造を学び、英語の構造を理論的に研究します。
英米文学研究では英米語圏の社会、文化を映し出している英米文学の研究を行い、英米文化を理解します。
教授法を学ぶ英語教育学研究は、その名のとおり英語教育に関して研究を行います。英語教育というものを理論と実践の両方によって、学び、研究します。
入学定員は修士課程が20名、博士課程は3名です。入試は修士課程は1期~4期と年に4回行われており、夏に1回、冬に3回行われます。
博士課程は冬に1回です。
4回と聞くと多いなと思うかもしれませんが、これはいろいろな場所で入試を行っているのが理由です。大学の拠点は名前にあるとおり名古屋なので、名古屋会場が入試のメインですが、他にも東京、大阪でも受験が可能となっています。
関東や関西に住んでいる人も受験しやすいようになっているわけですね。2017年度は2/24日に東京会場で、2/25日に大阪会場で入試が行われました。夏と他の冬入試2回は名古屋会場で行われます。
入学検定料は35,000円です。入試の内容は、修士課程が書類審査と面接試験となっています。提出書類は入学志願書と最終学歴の成績証明書、エントリーシートなどです。
なので、書類審査は成績証明書とエントリーシートが主に評価に使われるのかもしれないですね。成績証明書の成績は変えようがないので、エントリーシートと面接で勝負ということになりそうです。
博士課程は修士論文の審査、書類審査と英語での小論文、さらに面接試験が課されます。英語学の博士課程ともなると、英語で小論文が書けるくらいでないと3年間で博士論文が完成できないのでしょう。
学費は修士課程が約128万円です。博士課程は約182万円です。
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8.桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科
大学アドミニストレーションというあまり聞き慣れない分野を研究する研究科です。アドミニストレーションという言葉通り、大学の管理運営に関する専門的知識、能力を身につける研究科です。
専攻は大学アドミニストレーション専攻のみで、入学定員は40名です。入試は秋から冬にかけて募集が行われ、ここで定員があいていれば9月入学の学生も募集を行います。
この研究科の特殊なところは試験日を志願者が決められるという点ですね。なので社会人も自分の都合の良い日程で受験することができます。
入学検定料は35,000円です。
入試の内容は、一般入試と社会人入試に分かれていますが、どちらも書類審査と面接試験です。
学費は、2年間で約131万円です。
9.帝京平成大学大学院環境情報学研究科
某コンビニに行くとラジオで広告が流れているあの大学です。
通信制大学院の設置は環境情報学研究科環境情報学専攻の修士課程です。
入学定員は、50名です。
試験は3月と8月に行われており、平成30年度の出願期間、試験日は以下のとおりです。
出願期間・・・前期:2/6~2/17
後期:7/23~8/3
試験日・・・前期:3/8
後期:8/23
なお、後期試験で合格した人は、10/1から入学できます。(秋入学と言われるものです。)
試験内容は、筆記試験(英語)、書類選考、面接試験です。試験会場は池袋キャンパスで行われます。
受験料は35,000円です。
学費は、2年間で約160万円です。
10.星槎大学大学院教育学研究科
神奈川県横浜市にある大学です。読み方は星槎(せいさ)大学です。
修士課程のみ設置で、専攻は教育学専攻のみとなっています。
HPによるとほとんどの学生が社会人で、小学校から高校、特別学校の教員や看護師などの職業に就いている人が比較的多いみたいです。
入学定員は50名です。
試験は例年1月、3月、4月に行われています。平成30年は10月入学の学生募集が行われているようです。試験日は9月です。
以下、平成30年度入試の出願期間、試験日です。
出願期間・・・推薦選抜第1回:1/5~1/9 試験日・・・1/28
推薦選抜第2回:2/5~2/9 試験日・・・3/3
推薦選抜第3回:3/12~3/16 試験日・・・4/8(一般選抜も同)
一般選抜第1回:1/16~1/20
一般選抜第2回:2/19~2/23
一般選抜第3回:3/26~3/30
受験料は20,000円で、入試の内容は、推薦選抜が書類審査と面接審査で、一般選抜は書類審査と論述審査及び面接審査です。
推薦選抜は、社会人の場合、所属機関の長による推薦状の提出が必要になります。
試験会場は横浜キャンパスだけでなく、札幌、仙台、郡山、浜松、名古屋、福井富山、大阪、広島、福岡、香川、沖縄の13会場で行われます。
学費は2年間で約142万円です。
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